酔っぱらって他人のキーケースを持ってきてしまった。
 先日小学一年生の息子がクラスメイトの傘を間違えて持って帰ってきてしまったことがあった。しかもそんな日に限って風が強く、傘がひっくり返って壊れてしまった。帰宅後そのことに気付き、慌てて先生に連絡したのだが、結局弁償するはめになってしまった。全く何をやってるんだか…まだ一年生だから仕方ないけれど、普段からそそっかしいので先行きが心配である。

 そんなことがあったことなどすっかり忘れた頃、私は同窓会に出かけた。懐かしい顔ぶれが揃い、昔の話に花が咲いたこともあって、楽しくなった私はついつい飲み過ぎてしまった。それでも何とか記憶を失くすこともなく、自分の足で家に辿り着いたのでめでたしめでたし…とはならなかった。

家のカギを開けようとキーケースをカバンから取り出したとき、私は違和感を抱いた。手のひらに感じるキーケースの感触が、いつもと違うのだ。あれ?と思い、よくよく見てみると…それは私のキーケースではなかった。じゃあ誰の?するとカバンの中でスマホがブルブル振動している。同窓会メンバーのグループラインで、「カギがなくなっちゃった」とか「誰か知らないー?」とか「ヴィトンのキーケース」と明らかに私が持っているカギのことで大騒ぎになっている。「どうしよう、家に入れない」というコメントに追い詰められながら、私は恐る恐る白状のコメントを入れた。その後のグループラインが炎上してしまったのは言うまでもない。

 友人宅に向かうタクシーの中で、窓ガラスに映る叱られた犬のような顔をしている自分をぼんやりと眺めながら、我が家の一年生がこんな風になりませんように、と祈ったのだった。